Club jannmu

Melody with a moldy tune

 高層マンションに住んでいる僕は結構リッチマン。

 駅から見える僕の高層マンション。雨の日に歩いても濡れる間もなくエントランス。僕の密かな自慢でもある。

 地下街からの通路は巨大な排気ダクト。

それが一気にあのタワマンのエレベーターシャフトから天辺まで吹き上がり大気に放出される。

 駅前から見上げる僕の高層マンション、今日は霧に包まれて僕の住む高層階は見えない。そのことが誇らしくもあり残念でもある。

 あの高層階の部屋の窓から世界を見下ろすのは快感と至福とが入り混じって、なぜか高所恐怖症の僕を和ませる。

 高速道路を走る車からエンジンノイズとともに吹き上がる水しぶき。世界のすべてが色褪せて見える。

 窓を開けると部屋の中にも霧がたちこめて、そう、この部屋は空になる。湿った空と一体化する。そのとき僕は夢遊病者のように窓際に歩み寄る。そこでハッと我に返る。危険な状態だ。

 窓を閉めてエアコンをフル回転させる。

 粒子の荒いyoutyube画像みたいな部屋に侵入していた霧が晴れる。エアコンダクトから空に帰っていく。外の霧が濃くなったようだ。この無駄こそが僕の理想。これこそ水の惑星リッチマン。

 究極の人類 究極の欲望ままに身を任せる 霧が隠してくれている

 雨の日はエキサイティングだ。

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