Club jannmu

三年馬鹿

三年馬鹿


なぜか足が向いた。
新丸子のそこは空き地になっていた。
途端に涙が出て、鼻をかんでごまかした。
俺を操縦してるのはいったい誰なんだろう。


母がよく言っていた。
黙っていれば三年くらいはお前の馬鹿がばれずにすむと。
さすが母親だ。三年どころか三日だが。

少し落ち着いたから続けてみましょう。
そういえば兄貴はこう言っていた。
高校生のときだったか、兄貴が棒芯の現場にアルバイトに行ったとき、
なんで?どうして?これは?あれは?・・・俺の悪い癖。
京浜地帯の石油化学プラント内。俺たちを乗せた六人乗りのトラックは、タンクヤードに向かってゆっくりと走っていた。
「T-4649」と黒い文字が塗装されたタンクの上で、誰かが作業しているのがチラッと見えた。


”言っとくが、首から上は必要ない。考えなくていいから指示通り体だけ使え。”
真っ直ぐに前を見つめた兄貴が、低い声で言った。
俺は傷つき、そして腹が立った。
異様な兄貴の視線の先に目を移すと、タンクの上にはもう誰もいなかった。
”今すぐ分かる”
静かな声だった。
トラックが路肩に止まった。
赤いサイレンが近づいてきた。

投稿日 2008/01/17 Feel something | リンク用URL | コメント (0) | トラックバック (0)

*棒芯 肉体労働現場で、グループのリーダーのこと。

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