プラトンとアリストテレス
眠れない夜がずっと続いている。
なんだか私の人生は眠い人生だなと、そう思う。
幼い頃は布団に入ると喘息と皮膚アレルギーで眠れない。朝方にうとっとすると寝小便をしてしまう。目が覚める。
小学校に上がってからかそれが治ったと思ったら今度は鼻アレルギーに悩まされそれが続いている。
学生の頃、ポケットティッシュは必需携帯品だったが、余りに強くハナチンすると鼻血が出てしまうことがある。
忘れもしない高校入学試験のときの経験だ。
受験生は真剣な面持ちで受験票の番号順に席に座っている。そこへ担当教官が恭(うやうや)しく登場し、教室内はより一層しんと静まり返る。
「始め!」試験管が時計を見ながら声を挙げた。
答案用紙をめくる音、鉛筆と用紙が擦れあう音だけがその校舎内を重たく包んでいる。
ズル。
ズルズル・・・
一筋の液体が私の鼻の穴から上唇を伝って、ポタっと答案用紙に落ちた。私のテンションが一気に上昇し血が頭に昇って集中力は空っぽだ。
誰も見ていない、目撃者はいるはずもない。自分に言い聞かせ、騒がす慌てずおもむろにポケットティッシュを取り出した。
セロファンがクチャクチャと音を立てる、取り出した一枚を鼻に充てる。
静かに「チーン!ズズー」
誰もいない森の奥の湖面にいきなり巨大魚が飛び跳ねたような気配。
もうそのあとは覚えていない。試験は不合格だった。
いまだったら遠慮せずに心ゆくまで鼻をかみゃーよかったと思うのだが後の祭りだ。
あの頃の私は純情だったな。
ということで本題。
「無力と微力の二人の天使」
この二人の天使の物語は、この東大授業を聴いたかぎりプラトンとアリストテレスがモデルになっているようだ。(どちらにしても神話だから)
高校生と大学生のための金曜特別講座「古代ギリシア哲学を学ぶ意義」納富信留
https://www.youtube.com/watch?v=WJq903MLH2E
彼らは後の有名な学者の祖とされているが、彼らにはセンセーやガッコはあったのかといえば、いなかったし無かったと思う。それではいったい彼らは何から学んだのかという疑問が残る。そこのところはこの授業には出てこなかった。欧米人のなんだか喧嘩腰のように聞こえる会話もここから、シカゴ学派へもここから。なるほどそうか。
学校ってなんだろう。学ぶってなんだろう。
ほとんどの人は学校を卒業すると学ぶことをやめてしまう。本来は社会に出てからが学びのはずで、社会こそが学校なのじゃないのかと思う。
学ぶ者と学ばない者、10年も経てば差がつくのは当たり前だが、平等公平とはいったいなんだろう。スポーツや芸事だって同じだが、才能とか資質、生まれ持った物ってなんだろう。
プラトンが天を指しアリストテレスは地を指した。しかし天ばかりが先行して、いまの欧米の過度な科学信仰が、戦争や医学腐敗を志向してはいないだろうか。
錬金目的は学問のはずがない。学校は企業じゃない。
パーソナルコンピュータを手にし、使い方を覚えたのが40歳近くなってからだったが、それから記憶力が飛躍した。年中下を向かないでいいので鼻水が出ない。これを読者は冗談だと思うかもしれないが、本人の実感するところだ。しかし他の人に当てはまるとは限らない。
投稿日: 2023年11月27日 10:27